2014年1月5日日曜日

渋谷慶一郎ピアノリサイタル at スパイラルホール 2013.12.28

渋谷慶一郎さんのピアノソロのコンサートに参加できる日をずっと待ち続けていた。
2013年の終わり、12月28日のスパイラルホールでやっと体験することができた。

会場のキャパは何人くらいだろう?ステージ上のピアノを360度かこむ形で客席が配置されていた。
客層はファッションやアート業界っぽい人びとと音大生っぽいようなギークっぽいような感じの20代が中心。

会場の照明が通常のピアノのコンサートではありえない程絞られた。だからといってクラブのような真っ暗闇にストロボを焚く、という演出でもない。

深海に潜り込んだような感じ。そう、これは特別なリサイタルなのだ。
開演の定刻から15分ほど過ぎたころ、渋谷さんが登場した。

演奏の合間に渋谷さんの解説が挟まる。マイクで解説しているのだけれど、彼がマイクを持って怒ったような早口の口調で語る様はまるで、プロレスのマイクパフォーマンスのようだと感じるのは私だけだろうか。

空調で譜面があおられるというハプニングを経て、コンサートは進んでいく。

研ぎ澄まされた鍵盤のタッチ、考え抜かれた音響、そして情熱をはらんだ演奏は大げさではなく、これまで経験したことのないものだった。





今年は5月にArt Basel Hong Kongから帰国して翌日にBunkamuraでの初音ミクオペラに行った。

リサイタルで初音ミクオペラからの曲が何曲か演奏されると、あの頃にあったさまざまなことが思い出され、なんだか愛おしいような、なつかしい気持ちで胸が一杯になって泣けてきた。

この日の演奏でとくに印象に残ったのはブラームスの”intermezzo”。
それ程メジャーな曲ではないらしいのだけれど、たまたまこの秋~冬にかけて、Youtubeでグレン・グールドが演奏している同曲をよく聴いていた。

このver.↓



渋谷さんの解説ではサントリーホールでポゴレリッチというピアニストが演奏した(いつ頃のコンサートか失念)のに衝撃を受けたと言っていた。

ポゴレリッチの演奏ver.↓



たしかに、ポゴレリッチの淡い水彩画のような表現のほうが遥かにすてきのような気がする。

ところでこのイベントで印象的だったのは受付の人たちが親切だったこと。ああいうイベントってファッション系のPR会社が運営を担当することが結構あるみたいだけれど、彼らはそういう匂いのする人種だった。

お金を払って参加するイベントなのに、まるでVIP扱いされているような対応。うまく言葉では表現できないのだけれど、そういう体験だった。受付してもらっただけなのに。

間の取り方というかなんというか。自然なのだけれど尊重してくれている感じ。すてきな人たちだった。勢いのある人の周囲にはレベルの高いひとが集まるのだなと思った。



2013年5月に行われた初音ミクオペラ at Bunkamuraオーチャードホールのパンフ

2014年1月2日木曜日

今年の抱負 その2●SNSとのつきあい方を見直す


●今年の抱負 つづき

先ほど投稿した今年の抱負その1に引き続き、暇だからお正月で余裕があるので続きを書きます。

その2:SNSに費やす時間を減らす。とくにFacebookにアクセスする時間を2013年の50%以下にする
⇒友人、知人との距離の取り方を変えようと思います

2013年は勉強会などで新しい人に会うことも多く、さまざまな活動をしている人と知り合う機会があった。

そこで感じたのは、インターネットの力で面白いひとにコンタクトを取りやすくなったのは基本的には良いこと。間違いない。ただ、1度会ったくらいではその人のことはわからないし、周辺情報などで相手をわかったつもりになるのはよくないなと。

自分が知人との距離の取り方を間違ったこともあったし、逆に浅いつきあいの知人からの言葉にちょっとそれはどうかな、と思うこともあった。

リアルとインターネット回線を通したやりとりでは、相手と自分とのあいだで交わされる情報量や質が比較にならないほど異なる。

ネット上では言葉をうまく操るひとが勝つけれど、実際の人間関係は相手の顔つき、しぐさ、服装、その人と話すことでいかに心地よい空気感が醸成されるか、など、さまざまな要素が絡み合って、本当にその相手と付き合っていきたいか判断がなされると思う。

去年は新しい人に会う機会が多かった。それは感謝している。今年はそれだけでなく、実際に一緒に活動していける仲間とのつきあいを大事にしていきたい。

今年の抱負 その1●自分の正しさを大切にする

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
わたしの住んでいる地域はスカッと天気がよく、正月らしい空が気持ちよい1日でした。

・・・で、今年の抱負、2つになりました。長くなったので記事を分けます。


その1:自分の正しさを大切にする

2013年はアートの仕事をしようといろいろともがいていました。その結果感じたのは、頭で考えた正しさ、こうであるべき、というのに縛られて、苦しくなっていたなと。

アートは好きではあるのだけれど、企画を練るのは得意でないと感じています。

展示の内容を練る場合、その時の世界的な潮流を意識(たとえば現在なら、イスタンブール・ビエンナーレ(*1)の流れでポリティカルな要素を盛り込む等)し、なぜその内容をたとえば2014年1月現在の「その場」で発表する意味があるのかを証明する必要がある。

現代アートというのは作品そのものの美的な見た目というより、コンセプトが重要でそこに価値を見出す世界。

で、そういう時流に合ったハイコンテクストな政治、経済、宗教、社会情勢など含めた作品や企画を自分でチョイスして、編集し、運営および経営を継続していくことができるのか?本当にしたいのか?というとちょっと息苦しくなってしまい、ゼーゼーハーハー息切れしてました。

仲間に協力を募って得意分野で分業すれば全く実現不可能というのではないのでしょうが。





アート以外でいうと、私自身はファッションへの偏愛がやめられずにいます。やめたいと思っても、どうしても惹かれてしまう。そんな恋に似た魔物のような魅力がファッションにはある。

いかにファッションをアートと融合もしくは平行してできないか?と常々考えていました。

林央子さん(*2)以降、それらを共存させた活動をしている人をあまり見かけない気がしますが、ちょうど彼女の書籍『拡張するファッション』と同じタイトルの展覧会が来月2月から水戸芸術館であるようです。

THE FASHION POSTに掲載されていた、『honeyee.com』『.fatale』鈴木編集長へのインタビュー(*3)もほほーと思いました。以下一部引用。
ファッションの面白さは、やはり時代の無意識を先取って表現していることだと思います。それを敏感に感じとることで、未来予測的にこれから社会に何が起こるかが見えてくる。具体的な形をもつ前の雰囲気やムードを誰よりも早く捕まえるゲームなんです。だからこそ、流行があり、世の中の流れは少しずつ変化していく。その意味でも、ファッションはアートと同じなのです。

ということで、ほかの人があまりやっていなそうで自分が楽しめそうな活動、自分にしかできない領域をめざして今年は活動していこうと思います。

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参考)
(1)第13回イスタンブール・ビエンナーレ(ART iTの記事)
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_news/8h20IdAmYgCB71HKxa3j

(2)林央子 書籍『拡張するファッション』
拡張するファッション アート、ガーリー、D.I.Y.、ZINE…… (P-Vine Books)

水戸芸術館 『拡張するファッション』展 2014年2月22日(土)~2014年5月18日(日)

(3)TOKYO FASHION POST 『honeyee.com』『.fatale』鈴木編集長へのインタビュー
http://fashionpost.jp/posts/21596